春の剪定

冬の終わりが見えてくると、気分もウキウキしてきます。
「そろそろ新芽が芽吹いて来ないかな?」
と毎日気にかけたり、
「グレーだった葉が明るくなってきたんじゃないかな」
と、日々の変化に気づくのもまた楽しい季節です。

植物は冬の間にしっかり春の準備を整え、成長を始める時機をうかがっています。

さて、植物が春の成長をスタートさせる前にしておきたい作業が、春先の剪定です。

この作業、地域によっては、雪による枝折れが心配される場合など、冬が来る前に剪定してしまうこともあります。 一方で、雪の心配がない地域や、冬もある程度枝や葉を残して目を楽しませたいならば、春先に剪定を行うとよいでしょう。

枝数を増やしたり、大きくなりすぎた株をコンパクトにまとめ、かつ勢いの良い新芽を出させるためにも重要な作業です。是非チャレンジしてみましょう。

春の剪定は比較的安心

まだ栽培に慣れないうちは、
「剪定したら枯れてしまわないだろうか・・・?」
と心配になることもあると思います。

冬前の剪定だと、次に芽吹くまで、時間がかかりますので、冬の間、ずっと気をもむことになるかもしれませんが、今の時期なら大丈夫。新芽が動き始めてすぐなら、下のほうの新芽を残しておけばその芽は必ず伸びますから、剪定位置を心配することもありません。

さあ、春の剪定にチャレンジしてみましょう。

タイムの剪定

春のタイム

まずはタイムの剪定からチャレンジしてみましょう。冬の間は葉色がグレーになりつつも、風雪に耐えてきたタイム。今はまだそれほど芽が伸び始めている気配はありません。ちなみに植えてから約3年目の株です。何度か刈り込んでいますし、肥料が控えめなのでこれぐらいのサイズですが、育てかたによっては株幅も3倍以上になることがあります。

ただ、隣のラベンダーとおしくらまんじゅう状態。このまま春から初夏を迎えると、さらに枝が広がって通気性が悪くなります。その上、梅雨時を迎えると蒸れて傷んだり、枯れてしまう恐れもあります。また、タイムはコンパクトで形が良い方が見た目にもいい感じです。フレッシュな新芽をそろえるためにも今の時期の剪定は有効です。

タイムの剪定ポイント

剪定のポイントは株元の新芽。株の下の方に、枝からグリーンの葉が出ていたら少なくともこの上まで剪定しても大丈夫です。もし、下のほうに全く葉が無い場合は、強い剪定はやめて、もう少し上の葉を見つけてその上で剪定すると良いでしょう。

タイムの地際の枝の整理

さて、全体の剪定をする前に、しておくと良いことがあります。タイムやラベンダーのように蒸れを嫌うハーブは、地面にへばりつくように育ってしまった枝を整理しておくとよいでしょう。このような枝は、いずれ根を出すこともありますが、湿度が高い場所では腐れたりする原因にもなります。早目に剪定して株元に風が入りやすくしてやりましょう。

タイムの地際の枝の整理2 タイムの地際の枝の整理3

これですっきりしました。

タイムの剪定

次に全体の剪定です。ぐわっと株全体をつかみ、新芽の上で思い切り剪定しましょう。

タイムの剪定

剪定完了するとこんな感じです。ものすごく小さくなった感じですが、大丈夫です。この後、込み入った枝などを整理して出来上がりです。

隣のラベンダーの剪定

次に、せっかくタイムを剪定しても、今後大きくなると隣のラベンダーとまたぎゅうぎゅうになってしまうと予想されます。ラベンダーの枝も少し整理しましょう。

隣のラベンダーの剪定

これですこし余裕ができました。タイムが大きくなってもしばらくは大丈夫でしょう。(※本当はもう少しばっさり剪定したかったのですが、いま、このラベンダーが比較的良い形だったので、剪定がためらわれました。今後タイムの成長を見ながら、時々剪定しつつコンパクトにまとめるつもりです)

セイジの剪定

セイジの剪定

さて、次にセイジの株です。このセイジも本当は秋に剪定したかったのですが、あまりに寂しくなるので残しておいた株です。昨年から残っている葉もちょっと元気がなさそうです。

セイジの新芽

セイジの場合は、古い枝を減らしてなるべく新芽を出すことが長く健康な株で育てるコツです。ですので、まず株元近くの新芽を見つけます。そう言う意味では秋〜冬よりも春の方が新芽が見つけやすいと思います。

セイジの古い枝

そして、こういう古い枝をなるべく減らすのもポイントです。

セイジの新芽の上で剪定

ではまず、新芽の上で剪定。

セイジの古い枝を剪定

そして古い枝も減らします。

セイジの剪定完了

こんな感じになりました。だいぶ寂しくなりましたが、なるべく長く育てるためにはセイジはきちんと剪定することが大事です。花の後も同様の剪定が有効ですので試してみましょう。

サントリナの剪定

サントリナ

続いて、サントリナの剪定です。このサントリナは2株が並んでいます。冬を越した今も比較的良い感じなのですが、このまま夏まで育てると大きくなり過ぎ、株元が蒸れて、下のほうがスカスカになって格好が悪くなります。サントリナは特に春先の強い剪定が形良く育てるにはとても有効です。

サントリナの新芽

そして、サントリナの場合は春の剪定は比較的容易です。たいてい、株元からとても良い新芽が出ています。これらを伸ばすように前年までの枝をバッサリ切れば大丈夫です。もちろん、毎年剪定しているので、株元からきちんと新芽が出ます。何年も放っておいたら、株元は硬く太い枝だけになってしまいますから最初が肝心です。

サントリナの剪定

新芽の上で剪定します。

サントリナの剪定

半分終るとこんな感じ

サントリナの剪定 サントリナの剪定

一株完了。隣と比べるとかなり強く剪定しているのが分かります。

サントリナの剪定

二株とも剪定できました。剪定したては少し寂しいですが、これからの成長のことを考えると思い切ってするべき作業です。

なお、剪定で出た枝は、挿し木に使うことも可能です。きっとたくさんの枝が取れるでしょうから試してみても良いでしょう。

剪定時期の見極め

さて、「春に剪定をしましょう」と言われても、剪定した方が良いかどうかについて、初めての時はきっと迷うことでしょう。 ポイントは、開花の時期まで余裕があるかどうか。
「ちょっと遅いかな・・・」と思ったら、今期はあきらめて、来年、もう少し早い時期に行うか、秋に行ってみるのも良いでしょう。

フレンチラベンダー

たとえば、ラベンダーでも、上の写真のようなフレンチラベンダーの仲間はラベンダーのうちでも春早い時期に開花します。なので、3月に入ってからの剪定は花芽を損なう恐れがありますので避けたいところです。こういう種類は秋から冬のはじめに剪定すると良いでしょう。

他にも、冬から春先にかけて開花するローズマリーは、今はまだ花の真っ盛りなので剪定できません。これらは花が終ってすこししてから剪定すると良いでしょう

おおよそのめやすは花の時期から2、3ヶ月前ならば大丈夫といったところ。もちろん、一年延ばすと、株元の新芽はより出にくくなりますから、今年の花はあきらめてでも形良い株作りを目指すなら思い切って剪定しましょう。

また、近くで、上手に育てている人がいたら、一度、剪定の時期について聞いてみるのも良いでしょう。きっとその地域に最適の時期をご存知だと思います。

さらに、慣れてくると春の剪定を行うことで、花の時期をすこし遅らせる・・・というようなテクニックも使えるようになります。春早いうちの剪定は比較的失敗が少ないですから、是非試してみましょう。

タイム

セイジ

サントリナ


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