ハーブの株分けについて

秋から冬、そして春先にかけてはハーブの株分けに良い季節です。株を増やす目的だけでなく、株に刺激を与え、新しい根を出して成長を促すためにも株分けは大事な作業です。

また、ハーブの増殖方法としておそらく一番簡単な方法ですから、初心者でもまず失敗なくできます。

今日は、お客様のお庭の手入れに伺った時、株分けにちょうど良いハーブが見つかりましたので、お客様のお庭でのハーブ講座です。(M様、ありがとうございました!)

必要な道具

株分けをするのには多くの道具はいりません。株を掘り上げるスコップと、株を分ける時に使うハサミぐらいです。また、ハーブによっては、ハサミさえも使わず、手で分けることもできます。今回も手で分けていきます。

株分けできるハーブ

すべてのハーブが株分けできるかというと、そうではありません。例えば、ラベンダーはまず株分けできません。では、タイムはどうでしょうか。タイムでも、立性のコモンタイム等は株分けではなく、挿し木でふやします。一方で、クリーピングタイムは株分けで増やすことができます。このように、いわゆる匍匐性(ほふく性・地面を這うように横に広がる性質)のハーブの多くは株分けで増やすことができます。代表的な種類は、ミントやレモンバーム、匍匐性のタイム、ローマンカモミール、スイートバイオレット(ニオイスミレ)などです。

今回はレモンバームを株分けしてみましょう。

春のレモンバームの様子

レモンバーム

春になって、フレッシュな新芽が地際からたくさん伸び始めています。このレモンバームは二年ほど前に植え付けたもの。二年前に一ポット植えましたが、株が大きくなって横にも広がっています。レモンバームは丈夫ですから、今年も引き続きこのまま伸ばしても良いのですが、おそらく根もだいぶ古くなっています。今は良いかもしれませんが、大きくなると周りのハーブたちも圧迫しそうです。そろそろ株分けしても良い頃です。

ちなみにこの花壇は、基本的に花を楽しむ花壇。まわりはチューリップなどの球根類も植わっています。南側にフェンスがありますが、フェンス越しに日差しが入って来ます。本当はレモンバームのためにはもう少し日当りがあったほうが美味しいハーブティーができそうです。でも、柔らかい大きめの葉で、優しい風味のお茶が楽しめます。

株の掘り上げ

まずは掘り上げです。レモンバームは丈夫ですし、根に刺激を与える意味もありますから、躊躇せず思い切り掘り上げましょう。根が深くまで伸びている時はもっと大きなシャベルが必要な場合もあります。

レモンバームの掘り上げ

株の周りにぐるっとスコップを差し込んで根を切りながら掘り上げます。

レモンバームの掘り上げ

ハーブの種類によっては真下にしっかり根が残って掘り出しにくいこともあります。ぐっと奥までスコップを差し込みましょう。

レモンバームの掘り上げ レモンバームの掘り上げ

株全体を取り出します。大きな株の場合は相当重いこともあります。腰には気を付けて。

株分け作業

レモンバームの株分け

さあ、いよいよ株を分ける作業。株の真ん中当りを持ち、左右にぐっ、ぐっとねじったり引っ張ったりしながら株が分かれやすそうな場所を探します。恐れずに大胆に行きましょう。

どうしてもうまくいかない場合は、スコップや丈夫なハサミ等でバッサリ切ってしまうのも良いでしょう。土が乾いていたほうが株分けはしやすいです。晴れの日が続いた後がおすすめです。

レモンバームの株分け

どうやらポイントがつかめました。ぐいぐいと左右に引っ張ります。

レモンバームの株分け

見事二つに分かれました。

レモンバームの株分け

まだ一株が大きいですからさらに分けます。根の広がる余裕もみると、結局、植え戻す量はもとの株の半分以下となりそうです。

時期的に古い枝が残っていたり、もうすでに新しい枝や葉が伸び始めている場合は少し整理します。株分けによって根が傷みますので、葉を少なめてやると株の負担が少ないです。根のほうも、固くて古そうな根は整理して、新しい根はなるべく傷つけずに残すと良いですね。

土作り

肥料の追加

次に植えもどす場所の土作りです。本当は場所を変えるほうが、株のためには良いのですが、残念ながらこの花壇には場所の余裕がありません。仕方がないので、肥料を加えて、植え戻すことにします。場所を変える場合は、あらかじめ1週間前ほどに土作りをしておくと理想的です。

肥料の追加

肥料は微生物肥料。スコップに3倍ぐらい加えて良く混ぜます。ここの土はある程度バランスが取れているのでそれほどたくさんは加えません。

植え付け

レモンバームの定植

植え付けは、この場所に3株植え付けます。小さい一株を植えても良いですが、念のため複数株を植えておきます。土を掘って、根がなるべく下に伸びるように株を置いて周りに土を加えていきます。

レモンバームの定植

レモンバームは丈夫なのでつい手を抜き加減になりますが、ここはお客様の花壇、丁寧に、丁寧に。

レモンバームの定植

三株植え終わりました。

土は軽く加えて、この後の水やりでしっかりと土と株をなじませます。

水やり

レモンバームの水やり

水やりはたっぷりと。春先でまだ気温も低めなので、あまり乾くことはありませんが、「たっぷり過ぎるかな?」と思うぐらいやっておきましょう。

レモンバームの株分け完成

以上、できあがりです。株分け、簡単でしょう?大事なのはとにかく思い切りよく、躊躇せずに分けること、あと、あまり欲張らないことも大切です。


いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。

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