ハーブの種まきについて

ハーブを種から育てる

ハーブを育てるとき、一度は挑戦してみたいのが種から育てること。小さな小さな種が芽を出し、少しずつ大きくなっていくのを見るのはまるで我が子の成長を見るように楽しいものです。

種をまいて育てるのはそれほど難しくはありません。土の選び方や、水やりと種まき後の管理、目的のハーブの選び方がしっかりしていれば大丈夫。うまくいくためのポイントはたくさんありますが、ゆっくり学んでいきましょう。

種から育てるのに適したハーブ

どんなハーブでも種から育てられるかというと、そうではありません。種をまいて育てるほうが良いもの、種からよりも、株分けや挿し芽のほうが適したもの、そもそも種がつかなかったり、手に入りづらいものもあります。

たとえば、種から育てるのがおすすめの種類は、コリアンダーパセリディル等のセリ科のもの。これらは株分けや挿し芽も困難ですし、一年草で結構多く使う人も多いでしょうから種から育てるのに向いています。たくさん使うという意味ではバジルやロケット(ルッコラ)もそうですね。バジルは温度が高い時期なら初めてでも簡単に発芽します。是非試してみたい種類です。一方で、ローズマリーのように普通の家庭なら一株あれば十分という種類は種をまいて育てるとたくさんできすぎて困ることもあります。また、改良された園芸品種などは、種ができなかったり、種からでは色や性質が変わってしまうものもあります。これらは挿し木や株分けで増やすと良いでしょう。

ロケット

↑ロケットは種から育てる代表的なハーブ

でも、ローズマリーも種から育てると、ぷっくりした小さなローズマリーのミニチュア葉が育っていくのを見るのもまた楽しいものです。

一般の園芸店やホームセンターで手に入る種類は基本的に種から育てやすい種類だと思われて良いでしょう。

さあ、ご自分が育てやすい種類は見つかりましたか?

種をまく時期

一般に、種まきは春か秋にされる方が多いようです。この時期は割合発芽しやすく、発芽後も比較的育てやすいためです。

ただ、種を蒔く時期はそれだけとは限りません。お住まいの地域やハーブの種類によっても異なります。

たとえば、同じバジルでも、寒冷地なら5月以降に種子を蒔くことになるかもしれませんし、暖地なら2月でも発芽して育てることができるかもしれません。よく、トマトの種まきと一緒にバジルを蒔くというかたもいらっしゃいますが、野菜などの種まきシーズンと合わせるようにするといいですね。

一方で、コリアンダー(パクチー)や、ディル、ジャーマンカモミールのように、寒さに強い一年草は地域によって蒔き時がずいぶん違ってきます。寒い地域なら春で良いと思いますが、暖かい地域は秋まきにして、冬越しさせて春早くから収穫する方が結果が良いことが多いです。ほかにも、ロケット(ルッコラ)や、ボリジなどもこれにあたります。

また、真夏や梅雨時は温度があって発芽しやすいというメリットもありますが、発芽後の管理や、病害虫の被害も心配なシーズンです。

逆に冬は気温が低いので発芽に時間がかかりますが、寒さに強いハーブなら安定して育ちます。パセリやチャービルのように、暑さに弱い種類は秋から冬、春先に巻くのも良いでしょう。

種子をまいて、うまく発芽しなかった種類も、時期を変えて試してみたらうまくいったという事もよくあります。ぜひ色々な季節に種子を蒔いてみましょう。2週間〜ひと月ぐらいずつ、ずらして蒔く、ずらしまきも試してみましょう。

種をまく容器

まずは、種をまく容器です。

種まき容器

種まきはいろいろな容器ですることができます。上の写真は一例ですが、下列左から、素焼き鉢、ポリポット、プラスチック鉢、プラスチックのプランター、上の列は左からプラスチックの平鉢、そして黒いのがプラグトレイとよばれるものです。

それぞれの特徴をご紹介しましょう。素焼き鉢は、通気性に優れています。ただ、そのぶん、プラスチックよりは乾きやすい場合もあります。

ポリポットやプラ鉢は、大きめの種を直播きする時に使います。

プランターはロケットなどをスジ蒔きして収穫しつつ育てる時などによいでしょう。

プラスチックの平鉢も種まきによく使います。

近年、使われ始めたのがプラグトレイです。小さなセル(区分けされた穴)に用土を詰めて、そこに少量ずつ種をまいていきます。発芽した分から独自に取り出せるので、まだこれからと言う種を傷めずに移植することができます。他の撒きかたとは少し勝手が違いますので、後ほど詳しく説明します。

その他にも、イチゴのパックや、卵のケースに種まきをするなんていうのも見たことがある方はいませんか?ただ、これらの柔らかい容器は、移動する時などにつぶれたりしてせっかくでた繊細な根を傷めることがありますから、初心者はしっかりした容器のほうが安心です。

また、容器ではなく、花壇や畑にそのまままく方法もありますが、雑草や管理の点等から別の注意点もありますのでまた別の機会に取り上げます。

種まき用土

種まき用土は何を使うか、これはとても大事なポイントです。種まきになれた人に尋ねても、「ピートモスが良い」とか、「川砂に限る」とか、「○○の種まき用土だ」など、それぞれ答えは違うことでしょう。ただ、基本的には肥料の入っていないものを使います。また、畑や花壇の土は雑草の種が混じっていますからやめたほうが無難です。

選ぶ基準は「自分が水の管理がしやすい用土」です。いくつかおすすめを紹介しましょう。

バーミキュライト

まず、「バーミキュライト」です。キラキラ光って軽い用土です。好光性種子と呼ばれる、発芽に光が必要な種類を種まきするときに使いやすい用土です。

挿し木、種まき用土

次に、当店が普段使っている「挿し木、種まき用土」です。比較的バランスが良い用土で、水持ちも、水はけも良好です。

赤玉土

次は「赤玉土の小粒」です。粒がやや大きめですが、水持ちもまずまずです。

砂

「砂」です。粒のサイズによって色々ですが、あまり大きい粒ですと水はけが良すぎるかもしれません。小さい種をたくさんまくとき、発芽したあと分けやすいです。また、価格も安価です。「海にいった時にとって来よう」というのはやめましょう。塩分も残っております。

ピートモス

次に「ピートモス」です。水持ちは良いのですが、最初の吸水性と、からからになるとやはり水を吸いにくくなることからやや使い方にコツがいります。

市販の種まき用土 市販の種まき用土

他にも市販の種まき用土などもあります。初めての方は安心かもしれません。色々ありますが、一般的なものが良いと思います。上記は近所のホームセンターに売っていた品です。

他の道具

じょうろとラベル

他に準備しておきたいものは、種をまいたら水やりはせねばなりません。じょうろは必要です。特に、種は小さいですのでなるべく細かいシャワーを注げるじょうろが良いでしょう。小さい鉢なら霧吹きでもかまいません。鉢植えに水をやる時に使う、先の尖ったじょうろはお勧めできません。

また、まいた種の名前と日付を書き入れるラベルと筆記用具は是非準備しましょう。筆記用具は鉛筆でいいです。鉢にまくとき、鉢の底の穴が大きいなら鉢底ネットも必要になるかもしれません。

準備はとりあえずこれぐらいでOKです。

次回はいよいよ実践の種まき編です


いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。

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