目次

500ml

最初に

この記事は「初心者のためのハーブ講座」に掲載しておりますが、内容はやや経験者向けです。

下記で紹介する液体有機肥料は作り方や使い方に手間やコツが必要で、どちらかといえば初心者向けとは言えません。もし、有機肥料にこだわらないのであれば、保存も容易な市販の液体肥料(化学肥料)を使った方が成分も均一で使いやすいですし、肥効も安定すると思われます。

ただ、初心者の方からも、液体の有機肥料についてのお問い合わせを多くいただきます。加えて、使いやすくて手に入れやすい液体有機肥料の選択肢が少ないという現状もありますので、当店が行なっている方法で液体肥料(液肥)の作り方・使い方を紹介させていただきます。

以上のことをご理解いただいた上、参考にしてみて下さい。

こんな時に液体有機肥料を使いましょう

溶けてから吸収される固形肥料(微生物肥料など)は、肥料の効きがゆっくりで長持ちします。一方、液体肥料(液肥)は水分と一緒に根に吸収されやすいので、肥効が早く現れます。その代わり、液肥は水と一緒に流れ出す量も多くて土にとどまりにくいというデメリットがあります。

鉢植えで育てる場合

容器栽培では、水やりに伴い肥料成分が水とともに流出していきます。そのため、長期間育てていると肥料成分が不足してくることがあります。

もちろん、一番良いのは植え替えをして新しい土を足していただくことですが、時期的な理由その他で、すぐに植え替えができない場合、一時的に液肥で補ってやることも必要になります。

一方、地植えの場合は極端に水はけが悪くて肥料が流れ出す土だったり、バジルのように短期間で葉を大きく育てたいという目的以外では液体肥料は使わなくても良いでしょう。肥料の与えすぎは病害虫の原因にもなります。

小さな苗のための離乳食

一般に種まきや挿し木をするときには肥料分のない土を使います。そのため、発芽したり、発根したりした後、ポット上げなどをして肥料の入った土に植え替える時、肥料入りの土にうまく馴染めずに根が傷んで枯れてしまうことがよくあります。

そこで、発芽・発根してしばらくした小さな苗を肥料に慣らすために、液体肥料を使うことをお勧めいたします。赤ちゃんが、普通食を食べるまでに離乳食で慣らしてあげるのと同じですね。

この場合はさらに濃度を薄めて20倍ぐらいで使うと安心です。

早く成長させたいために使うのは厳禁

なかなか大きくならないからといって肥料を与えるというのはあまりうまくいきません。大きくならない理由は、肥料不足の他にもいろいろ考えられるからです。

成長する時期ではなかったり、気温や日照などの環境があっていなかったり、水が不足していたり、病害虫が原因かもしれません。大きくならないからと、肥料を与えてもかえって状況を悪化させることも多くあります。

使う時期

気温が高い時期は、抽出時の匂いが気になりやすいかもしれません。また、ハーブ自体も高温で疲れている時期は肥料を与えても効果が少ないですから(気温が高くても良く育つバジルやレモングラスなどは別ですが)、真夏は避けた方が良いでしょう。適期は秋以降〜初夏ぐらいまでが良いでしょう。

液体有機肥料の作り方

計量

お茶パック

微生物肥料を約50ml計り、不織布のお茶パック(だしパック)に入れます。これぐらいのサイズのお茶パックですとちょうど一回分になります。

お茶パック

このパックの場合、95mm-120mmのサイズでした

水につけて浸出液を作る

500ml

500ml

500mlの水につけ、約1日放置します。1日経つと濃い浸出液になります。水分がもとの肥料に残るため、約400mlになります。絞り出さなくても良いでしょう。

500ml

500ml

パックを取り出すと約400mlの浸出液が残ります

※注意。気温が高い時期は浸出液自体が発酵するためか、独特の匂いが強くなります。気温が高い時期の製作・使用は避けましょう。時期的に植物にもよくありません。

液体有機肥料の使い方

希釈して使用

500ml

4リットルの水で約10倍に希釈

10倍(約4リットル)の水に加えて希釈してジョウロなどでハーブに与えます。前述の、まだちいさな発芽・発根して間もない苗に与える場合、最初は20倍に薄めても良いでしょう。

500ml

鉢の底から水が出るぐらいたっぷりと与えましょう

使用頻度と使い始めるタイミング

多くても月2回ぐらいまで、平均して、ひと月に一度ぐらいで良いでしょう。毎週のように使う必要はないと思います。

肥料の与えすぎは害になることが多く、メリットはありません。与えなくても育つようなら与えない方が香りも良く、病害虫の心配少なく育ちます。

鉢植えの場合の使い始めは、苗を鉢に植え付けて、成長の兆しが見え始めてから(根付いて成長し始めてから)が良いでしょう。

発芽したり、発根した後に肥料に慣らすために与える場合は、1,2週間に一度、2~3回与えるとずいぶん肥料に慣れるようです

この場合の使い始めるタイミングは、プラグや鉢に撒いたり挿し木している場合は、底から根が見え始めた頃から。特に小さい種子の発芽の場合は本葉が出てからが良いでしょう。発芽前、発根前の使用はメリットがありません。

注意点

保存がききません。一回ずつ使い切るようにしましょう。

使い終わった後の微生物肥料は

肥料成分は抽出されたことでかなり失われていますが、水はけを良くしたり、微生物や空気を保持する力は残っています。捨てずに、畑や花壇の土に混ぜていただいてもいいですし、鉢植えなどの土に使う場合は、土の量に対して1割ぐらいを目安に加えると良いでしょう。

まとめ

液体有機肥料は補助的に

液体有機肥料は、上でも述べたように、地植えでは使わなくてもいいでしょう。また、鉢植えでも、成長に問題がなければ使わなくても良いですし、むしろ植え替えて新しい土を加える方が良い場合が多いです。

ちなみに当店では、育苗の際、ポットあげして以降は用土に元肥(微生物肥料)をブレンドしておりますので液体有機肥料は使っておりません。ただ、発芽・発根したばかりの苗を肥料に慣らす用途では使っています

このように、液体有機肥料は必ずしも使わなくて大丈夫です。どちらかというと、補助的に使ってみるのがおすすめです。


いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。

ホットライン