台風後の管理

台風による被害の後には

日本海を通り抜けていった台風24号、真夜中の強い風の音は目が覚めるほどでした。夜が開けて、ビニールハウスに向かうと、戸は外れているわ、一輪車は倒れているわ、ハウス内の支柱も外れているなど、普段よりもかなり強い東風が吹いたようでした。

圃場の被害

それよりも、植えてあったハーブたちがかなり深刻な被害が。

柔らかい種類はまだしも、枝が硬いラベンダーやローズマリーなどは強い風を直接受けてしまうため、横倒しになっている株が相当ありました。

風による根のダメージ

根の持ち上がり

たとえば、このローズマリー、草丈が60cmぐらいはありますし、枝も多く、葉も茂っているため真っ向から風を受けたのでしょう。30度ぐらいは傾いてしまいました。根の部分が持ち上がり、上のほうの根が露出しています。試しに揺すってみると、グラグラと動きます。下のほうの根も相当切れている感じです。

このままで「よいしょ」とまっすぐにするだけではよくありません。

根が相当無くなっている分、地上部の葉を減らしてやらねば、根から供給できる水分が、葉から出て行く水分に追いつかなくなってしまいます。

それに、根の数が減った分、いままでの地上部を支えるほどの力もありません。

そこで、地上部を剪定して水分と力のバランスをとってやる必要があります。

横倒しになったフリンジラベンダーの手入れ

フリンジラベンダー

上の写真のフリンジラベンダーも、相当横に倒れています。

フリンジラベンダーの根

根をよく見ると、ローズマリーよりもはるかにひどい状況です。風によってぐるぐる回された感じで、相当太い根も切れてしまっています。この状況ではとてもたくさんの葉を養う事はできません。

「せっかくここまで育ったのだから・・・」となんとか支柱などで支えて、次のシーズンの花を楽しみたいと思われるかもしれませんが、ここは辛抱です。思い切った手入れが必要です。

まずは剪定

フリンジラベンダーの剪定

思い切りよく剪定します。まずは、古い枝や横向きの枝、ねじれた枝などもともと不要の枝を剪定します。

フリンジラベンダーの長い枝の剪定

その後、長い枝を短く剪定していきます。ラベンダーはコンパクトにまとめたほうが形も美しく、雪が多い地域では雪による枝折れの予防にもなります。

フリンジラベンダーの剪定位置

ポイントは、新芽の上で切る事。新芽が残ってさえいれば、そこから伸びていきます。新芽が全く無くなるまで剪定してしまうと、最悪芽が出ない事もありますので気を付けましょう。

フリンジラベンダーの剪定後

もともとの1/4ぐらいになりました。まだ古い枝や葉がのこっていますが、あとで取り除いておくと良いでしょう。株元をしっかり押さえて根が浮き上がっていないかチェックします。

また、あまりひどい場合は一度掘り上げて植えかえたほうが確実な事もあります。

土寄せ

株元に土寄せをします。新しい土を加えて、根が露出しないようにしておきましょう。

支柱

必要ならばさらに支柱をしておくと尚安心です。周りに何も無い場所ならともかく、お家の花壇などでは、おおよそ強い風が吹いてくる方向は同じ場合が多いです。風に倒れないような方向を工夫して支柱をすると尚良いでしょう。

水やり

このあと、たっぷりと水を与えて土と根をなじませておきます。

補足

この時期からならば、強く剪定してもまだしばらく伸びますし、少ないながらも次の花は咲いてくれると思われます。また、ラベンダーに限らず、灌木系のハーブは定期的に古い枝を剪定して新しい枝を出す事も大事ですから、剪定のよい機会と、前向きにとらえましょう。

台風は、風もですが、沿岸部の場合は潮の被害も重大です。海から少し離れた場所でも風によって巻き上げられた潮が付着し、成長を妨げます。台風後に真水を全体にシャワーなどで洗い流すと安心です。

今後、温暖化により、台風もますます強くなると言われています。日頃から強い風でも倒れにくいように低くがっしりとした株になるよう、こまめに剪定をしたり、施肥や水やりを控えめにして育てる事も大事です。また、台風が来そうな場合はあらかじめ支柱をしたり、剪定をして予防する事も良いでしょう。雪が降る前も同じです。


いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。

ホットライン