アブラムシ対策

怖がる必要はありません

まず最初に、このページは、すでにハーブや植物を育てていて、すでにアブラムシの被害に遭っている方を対象としています。

もちろん、予備知識として知っておくことは悪いことではないと思います。でも、被害に遭っていない人が必要以上にアブラムシを恐れてしまったり、まだハーブを育てたこともない人が、このページを見てハーブを育てること自体を躊躇してしまうことはあまり望ましくありません。

アブラムシがついたからといって、すぐにハーブが枯れるわけではありません。時期が過ぎるといつのまにかいなくなってしまうこともよくあります。

早めに被害をみつけて、原因を見つけ、早めに対応することが一番です。そのためにもアブラムシをよく知り、日々観察をすることが大事です。

では、アブラムシについて、すこし学んでみましょう。

発生時期

春から初夏にかけてが多いですが、秋、天敵が少なくなった頃に被害が広がることもあります。冬、葉の付け根などでしずかに越冬している姿を見かけることもありますが、暖かい室内では冬でも活動します。

被害に遭いやすい種類

たとえば、非常に強い雑草であるセイタカアワダチソウやヨモギなどでも、柔らかい新芽にはアブラムシがたくさんやってきます。

ハーブの仲間でも、柔らかく成長した葉には、種類を問わずやってくることが多いです。

例えば、ローズマリーでも、しっかり成長し硬くなった葉には滅多に見られませんが、成長期の柔らかい葉にはアブラムシがやってくることもあります。

アブラムシ

ミントも葉が柔らかいうちにはやってくることがある

そういう意味で、一気に成長しやすい一年草には、特に被害が目立つことがあります。中でも春から初夏に掛けて成長する一年草には多く、例えばバジルなどの場合、小さな苗の頃は被害が目立つこともありますが、おおきく成長し、葉がしっかりしてくると被害が減ることが多いようです。

また、ハーブの種類によってやってくるアブラムシの種類も異なり、体色も緑色、黄色、赤色、黒、白っぽいものなど様々です。

被害に遭いやすい場所

柔らかで、天敵や雨風を防ぎやすい葉の裏によくみられます。また、柔らかくて新しい新芽の周りにも集まりやすいです。寒い時期は葉の付け根や、葉が合わさるような場所にもよく隠れています。こういった場所を重点的にチェックしてみましょう。

葉の裏

大きな葉の裏は絶好の隠れ家(アーティチョーク)

葉の付け根

隠れやすく、新芽が伸びる葉の付け根には集まりやすい(チャービル)

葉の裏にいると見つけにくいものですが、下の方に脱皮した抜け殻があったり、アブラムシが出す蜜がキラキラ光っていることもありますので手がかりにしてみましょう。

脱皮の跡

アブラムシの脱皮の跡。おそらくこの葉の裏にはアブラムシがいます

発生原因をよく考えましょう

アブラムシの被害には必ず原因があります。原因を考えずに、むやみに殺虫剤を散布するようなことは意味がありません。

天敵が少ない環境

時期的にアブラムシの天敵が少ない、秋遅くから春先に掛けて、また、天敵がやって来づらい室内などでは被害が多発しやすくなります。

雨や風が当たりにくい場所

ベランダや軒下など、雨や風が防げる場所は、アブラムシにとっても快適で、繁殖しやすくなります。そのため、葉の間の感覚が狭く、葉が大きいハーブも快適な場所です。

肥料や水の与えすぎ

肥料や水が多いと、柔らかく軟弱な葉に育ち、アブラムシの被害を受けやすくなります。

柔らかい葉や枝が成長する季節

また、肥料や水が適切でも、春先の穏やかな季節には、柔らかくてみずみずしい葉や枝がのびます。アブラムシにとっても嬉しい季節で、この時期に一時的にふえることもあります。ただ、時期を過ぎると徐々に減っていくことが多いものです。

アブラムシ

一気に伸びるバラの花茎もアブラムシの大好物

共生関係のアリ

アブラムシの出す甘い蜜をもとめて、アブラムシのいるところにはアリがやってきます。逆に、普段いないのにアリがハーブにやってきていたらアブラムシがいる可能性があります。アリがいるとアブラムシの天敵を退けてアブラムシが増えやすいとも言われています。鉢植えなどの場合は、アリがいない場所に移動させるのも一つの方法です。

以上のような原因が考えられますが、年によっては同じ条件、同じハーブでも全く影響がないこともあります。

アブラムシの天敵

テントウムシ

アブラムシが増えてくるとやってくるテントウムシ(ナナホシテントウ)

テントウムシ(成虫、幼虫)、ヒラタアブやクサカゲロウの幼虫などが主な天敵です。小さいうちのカマキリなどもアブラムシを捕食するようです。

テントウムシの幼虫

テントウムシの幼虫(まだ小さい)

テントウムシの幼虫

テントウムシの幼虫。だいぶ大きく、アブラムシを食べる量も多い

テントウムシのサナギ

テントウムシのサナギ

ヒラタアブの幼虫

ヒラタアブの幼虫もアブラムシが大好物

ヒラタアブの成虫

ヒラタアブの成虫はハーブの蜜を吸いにやってくる

クサカゲロウの幼虫

クサカゲロウの幼虫

クサカゲロウの成虫

クサカゲロウの成虫

地植えの場合の対策

地植えの場合、成長し始めで、新しい葉が次々出るような頃は一時的にアブラムシの被害を受けることがありますが、そのうち、天敵がやってきたり雨や風で流されたりして徐々に被害は落ち着いてきます。

ですので、見つけたら手でつぶしたり、ひどい場合は剪定して取り除くぐらいの対策で十分です。

もし、いつまでも被害が治まらない場合は、むしろ根本的になにかがおかしいと考える必要があると思います。上記「発生原因をよく考えましょう」を確認してみましょう。

鉢植えの場合の対策

地植えと違って鉢植えの場合も、自然に被害が落ち着くことが多いですが、屋根の下など、アブラムシの好む条件が整っている環境も多いため、場合によっては一気に増えたり、周りに広がったりすることもあります。下記のような対策を早めにとっておくと安心です。

指で潰す

少量の場合は指でつぶしたり、歯ブラシなどでこすり落とすのが手っ取り早い方法です。粘着テープを使って取り除くのも良いでしょう。

洗い流す

水をかけながら洗い流す

当店がおすすめしているのが洗い流す方法です。水をかけながら、指でかるくこすってアブラムシを洗い流します。細かい場所などは小さめの歯ブラシなどを使っても良いでしょう。

アブラムシ対策

細かい場所は小さめの歯ブラシで

ポイントは、一度きりでなく、1週間おきに2,3回繰り返すこと。何度か繰り返すうちにかなり落ち着いてきます。

洗い流す方法に限らず、指でつぶしたり、牛乳スプレーで対策する場合もかならず間をおいてチェックしましょう。小さいアブラムシは葉の隙間などに隠れていることも多いので、一度にすべていなくなったと思わないように。

動画にまとめてみました。どうぞ御覧ください。 (再生時間 およそ1分30秒 音声が出ます)

牛乳スプレー

牛乳スプレーはアブラムシ対策としてよく紹介されています。効果もありますが、スプレーしてそのままはよくありません。乾いた後にはきちんと洗い流すことが大事です。牛乳と一緒に固まったアブラムシがこびりついていたり、場合によってはかびてくる場合もあります。スプレーしすぎで、鉢の土が腐ってしまったという方もいらっしゃいましたので注意しましょう。

木酢

定期的に木酢をかけてアブラムシ対策をしているという方もいらっしゃいます。予防としてはよいかもしれませんが、すでに多発している場合はそれほど効果がないように思われます。

反射する素材を株元に置く

キラキラしたものが苦手と言われていますので反射素材のテープなどを株元近くに敷くことが勧められています。こちらも予防策としてはおすすめですが、すでに大量発生している場合はそれほど効果が見られない場合もあるようです。

天敵を連れてくる

鉢植えなど、対策が必要な株が少量の場合は、天敵を連れてくるのも良いかもしれません。あるお客様は、毎年近くの公園でテントウムシの幼虫を捕まえてきて、アブラムシの付いたハーブの鉢に放してやるそうです。また、アブラムシが増えてくると、自然に天敵がやってくることもよくありますからよく観察してみましょう。

アブラムシ対策

野原などに生えているカラスノエンドウにはアブラムシとともにテントウムシもよくいる

あきらめる

もし、育てている環境にそのハーブが合わない場合、いろいろな対策を講じてもうまくいかないこともあります。そんな場合は潔くあきらめて、その場所で育てやすいハーブに変えることも大事です。

まとめ

アブラムシを最初に見たときにはびっくりして慌てられる方も多いようです。

けれど、アブラムシ自体はとても小さく弱い昆虫です。原因をつかんで適切に対処すれば必ずしも怖がる必要はありません。

また、一年間を通してハーブを育てていると、発生しやすい季節、収まる季節など、おおよそのサイクルがつかめてきます。慣れてくると、「そろそろアブラムシが出てくる頃だな」という感じになり、予測もつき、対処もしやすくなることでしょう。


いかがでしたでしょうか。もし、まだ良く分からないことがあるという方のためには初心者の方専用ホットラインをご準備いたしております。ご質問等お気軽にお寄せください。

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