小さい苗の大きな秘密

当店の苗がお手元に届き、箱を開けたとき、きっと「ちっちゃくて、かわいい苗!」と思われることでしょう。
また、「こんなに小さくても大丈夫?」と心配になられるかもしれません。

でも、ご心配無用です。苗が小さいのには、理由があります。そして、当店の小さな苗には、大きな秘密が隠されているのです。

小さい苗の理由

当店は、実は大きい苗も育てることができます(左が当店の標準サイズの苗です)。

小さい苗
肥料と水をたっぷり与えれば、右のような苗を作るのはむしろ容易です。見栄えもよく、届いた時に、お客様の印象もきっと良いでしょう。
でも、当店ではあえて地上部が小さい苗作りを続けます。

なぜなら、当店は長年の庭づくりの経験から、しっかり根付いて元気に育つためには、まず根が一番大事であるということを知っているからです。苗が定植後、きちんと根づいて育つかどうか・・・。これには根と葉のバランスが大きく関わってきます。

肥料をたくさん与えれば、葉は大きく育ちますが、根はむしろ伸びません。上の写真の、右側の苗の根を見て見ましょう。

少ない根

あんなに地上部が伸びているのに根はたったこれっぽっちです。

一方、肥料を制限して育てた左の苗をみてみましょう。

たくさんの根

コンディションの良い根が全体に広がっています。地上部を支え、育てる根がこれほどあると、しっかり育ちます。

根付くための条件

地上部が大きく育って見栄えが良い苗でも、根が貧弱では、葉や枝が育つための水分や栄養分が十分に根から供給できません。ひどい場合は、活着すること無く枯れてゆきます。うまく活着するためには、葉と根が良いバランスである必要があります。少なくとも、葉にくらべて根の勢いが勝っていなければいけません。そのため、当店がお庭に苗を植える場合、定植後、あえて葉を大きく剪定することもよくあります。

定植前

定植前の伸びた枝も

定植前剪定

あえて剪定して、葉の数を減らしてから

定植

定植します

先に葉が大きく育っていると、定植後、葉からの水分蒸散に根からの供給が追いつかず、すぐにしおれてしまうこともあります。しおれるのでさらに水を与える→なおさら根が広がらない→よけいにしおれやすい。という悪循環に陥る恐れもあるのです。まず根をしっかり伸ばし、その後で葉が広がっていくのが理想的です。
種子から育てたことがある方は分かるかもしれませんが、発芽したてで、まだ葉が大きくない状態でも、驚くほど根が伸びているものです。
また、街路樹などの大木の根は、少なくとも地上部の枝や葉が伸びている範囲と同じぐらいか、それ以上の根が伸びていると言う話、耳にされた方も多いのではないでしょうか。

無農薬で育てるために

また、当店が大事にしている「無農薬栽培」というスタンスからも、病害虫の大きな原因となるため多肥は厳禁です。そのため、肥料も不必要に与えることをしません。

この二つの苗、見分けがつくでしょうか?どちらも同じスイートマジョラムですが、左は肥料を敢えて多めに、右は当店の標準的な肥料で育てたものです。すこし左のほうが葉が多くて元気そうに見えるかもしれません。

マジョラム

地上部を比較してもそれほど違いはありませんが、根を見てみるとはっきりと分かります。

マジョラム

左の肥料を与えすぎたほうは、甘えてしまって根を広げようとしていません。

そんな甘えた状態で育つとどうなるか・・・。

アブラムシ

肥料を与えすぎて軟弱に育ったやわらかい枝にはアブラムシをはじめ、害虫がやってきやすくなります。

無農薬の安全な苗を皆様の元にお届けするため、あえて肥料を控えめに、小さな苗作りを行っています。

 

発売開始の判断も根を見て行います

育苗してきた苗の発売開始を決めるのは、根の状態です。いくら葉が大きく広がっていても、根が貧弱でしたら発売は見送ります。

根の少ない苗

この苗は、葉はだいぶ伸びています。地上部だけ見れば問題ないですが、根の発育がもう一歩です。まだ発売できません。

十分な根の苗

この苗は、葉はまだそれほど大きくないですが、根はとてもしっかりしていますので、発売開始します。

当店は育苗期間中、何度も育苗ポットから苗を取り出して根を観察しています。根がしっかり伸びるよう、肥料が過剰にならないように土の配合には特に気をつけています。

水もやりすぎないように

さらに、水が多すぎないよう、いつも気を配っています。スプリンクラーで一律に行うのではなく、苗の顔を見ながら、水のやり過ぎにならないよう手作業で、ていねいな水やりを心がけています。当店のスタッフが朝出勤してきて、まず行うこと、それは苗の水分のチェックなのです。

水のチェック

このように、当店の苗作りは根と葉のバランスを常に重視。「根>葉」になるように心がけて育てています。地上部は小さめでも根はしっかり。根付きやすい苗です。根付きがよく、その後も良く育っているとの喜びの声もいただいております。もちろん、根付いた後はしっかり葉を広げ、大きく育っていきます。

苗もとてもいい状態で植え付けて1ヶ月にもなりませんが、大きくなりました。(新潟県 A様)

他にもたくさんのお客様から御好評いただいております

大きい苗の理由

「じゃあ、どうして私たちが普段見慣れている苗はもっと大きいの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
普段皆様が園芸店やホームセンターで見慣れている苗はふさふさと茂り、見るからに大きく育ちそうに思えます。でも、なるべく大きな苗を育てる本当の理由をご存知でしょうか?

流通の事情

その理由は、まず花卉市場にあります。莫大な量の花や苗が運び込まれ、短時間のうちに競りを完了させる市場では、ものすごいスピートで次から次へと商品が競りにかけられます。大きな花卉市場では、モニターに映し出された苗を見て競り落とすかどうかを決めるところもあります。その短い時間の中でアピールするにはまず見た目。大きく育ち、見た目が立派なことが第一条件です。根の状態など二の次です。そもそも、根を確認することすらできません。

市場

見栄えが第一

さらに、店頭に並んだとき、まず手に取ってもらうためにも見栄えがよくなければなりません。園芸を良く知る方なら、育苗ポットをそっと取り出して根の状態を確認しますが(もちろん、店員さんに断ってからですけどね)、とりわけ初心者の方は葉や枝の大きさで判断することでしょう。
実は、ずいぶん前のことになりますが、知り合いがお花屋さんをオープンすることになり、開店時の賑わいに・・・と、当店の苗を店頭に並べてもらったことがあります。さて、どうなったでしょうか。市場で仕入れたフサフサとした花苗たちの横に並べられた当店の苗は明らかに見劣りがしていて、予想通り、ほとんど売れずに残ってしまいました。

こういった事情からも分かるように、苗作りをするときには、大きくて見た目が良いことがとても重要視されるのです。

 耳を疑う言葉

以前、ある園芸農家さんの言葉に、耳を疑ったことがありました。

「一番いい苗は、見た目がよく、お客さんが植えた後で、すぐに枯れる苗だ。そうすればまた買ってもらえる」

理屈ではそうかもしれませんが、これでは、せっかく植物を育てようと思う方をがっかりさせてしまいます。また買ってもらえるどころか、「私には無理だ」とあきらめてしまうかもしれません。

もちろん、全ての園芸農家がそうであるとは言えませんし、見た目だけでない良心的な苗作りをしていらっしゃる農家さんもたくさん知っています。
でも、当店は、この言葉を聞いてからというもの、一層、見た目は悪くても、きちんと根付いて育つ苗作りを心がけるようになりました。

市場に出荷しません

当店の苗はすべてお客様への直売で、市場に出荷を行っておりません。そのため、上記のような見た目にこだわる必要がなく、活着して良く育つという目的だけに集中して苗作りができます。

そもそも、市場に出荷する場合、とても大きく関わってくるのが値動きです。値が一番上がる時に向けて生産しなくてはいけません、天候によっては、出荷目標に間に合うよう急いで育てることも必要になってきます。でも、当店は出荷しませんので急ぐ必要はありません。あなたのお庭でより良く育つことだけを考えて育てることができるのです。

 

当店の苗がぴったりの人、そうでない人

こういう人には当店の苗がぴったりです

  • ハーブを自分で育てる楽しみを知りたい人
  • 無農薬で安全なハーブを収穫したい人
  • 香りの良いハーブを楽しみたい人
  • 枯れずにしっかり育つ苗を探している人

こういう人には向きません

  • 届いてすぐに使いたい人
  • ディスプレイ用など、見栄えが第一の人
  • 花つきの苗が欲しい人
  • 安いのが第一という人

一般に流通している苗とは、育てかたも流通方法もことなる当店の苗、見た目は小さいですが、当店の苗があなたに与えてくれるものは、見た目だけ大きい苗よりも、ずっとずっと大きいに違いありません。是非一度手に取って頂き、育てて、利用してその価値を確かめてみてください。