マンツーマンレッスン レポート 2014年3月15日

玄関花壇

本日のマンツーマンレッスンは松江市のY様。お庭作りのレッスンなので、お家に訪問して現地での開催です。

昨年10月に庭付きの借家へ引っ越され、さてこの春から庭をどうしようかな?ということで、レッスン受講となりました。

ご希望としては、なるべく手がかからないよう、それでも、いつも緑があって子供たちも遊べる野原のような庭にしたいとのことです。

まだ、引っ越してきてこれから初めての春を向かえるため、どんな植物が植わっているかも分かりません。それに、雑草もこれからどのくらい生えてくるかの見当もつきません。

玄関前の花壇〜今あるものを活かしつつ

まずは、玄関の前の花壇からスタート。土の状態を調べるために花壇の土を掘ってみました。

玄関前花壇

ひと昔のお庭は概して丁寧に作られています。しっかり掘っても花壇は結構深さがありました。近年作られたお庭には、20cmも掘るとつき固めた砂利などが出てきて、スコップでは全く歯が立たないようなこともあります。ひどいところでは10cmも表土がない庭もあります。

玄関花壇

でも、このお庭は30cm以上土が加えられていました。なので、たいていの植物が栽培可能と思われます。

玄関花壇

土自体も良質な山土で悪くはありませんが、以前すんでおられた方が手を入れられてからずいぶん経ったようでかなり土が締まっています。腐葉土やバーク堆肥などを加えて少し軽くすると楽しくガーデニングができそうです。

いま、花壇にはチューリップの球根が芽吹き始めていて、花ニラ(おそらく)もかなり広がっています。ちょっと整理が必要な感じですが、Y様はハナニラはお好きということですので、とりあえずこれはこのままで。

玄関花壇のビオラ

他にも、多年性のビオラも芽を出していました。詳しい種類は分かりませんが、この春、どんな花が咲くか楽しみです。

スズラン

花壇の端の、落葉樹の下にはスズランの前年の葉を発見。長年の間に少しずつ増えていったのかもしれません。増やそうと思っても増えない時があるので、これはうれしい掘り出し物。きっと落葉樹の下で適度な陰になり、気に入った場所なのかもしれません。でも、このまま、枯れ葉が残りっぱなしでは、これから葉がでて花が咲いた時にちょっと見た目がよくありません。

スズラン

枯れ葉を取り除き、腐葉土でマルチをしておきます。黒いものがバックにあると新芽が出た時に映えます。スズランの大きなグリーンの葉なら、いっそう引き立つでしょう。上の写真のように、マルチをしたところとしていないところでは雰囲気がずいぶん違います。

また、地面にマルチングをしておくと、その下の土が柔らかくなり、草取りも楽です。花が咲いた時が楽しみです。でも、スズランは有毒ですから子供さんたちが口にしたりしないよう注意は必要です。

玄関花壇

このお庭、他にも植えてあるものがありそうなので、継続的な観察が必要そうです。まだまだたくさんの発見がありそうです。

裏庭の花壇〜樹木を上手に活用して

裏庭

続いて裏庭の花壇へ移動。現在、樫等が数本植えられています。日陰で湿っているせいか、コケが広く生えています。Y様はコケ自体は気にならないと仰っていましたが、何か植える場合はちょっと邪魔になるかもしれません。土を軽くしたり、アルカリ性にするために、くん炭などを加えると改善されるかもしれません。

土壌改良

試しに一部分、くん炭とバーク堆肥を加えて土壌改良してみました。
「きっとこの後生えてくる雑草は周りと違うと思いますよ」
と、店長。

また、Y様の悩みの種の一つが裏庭に何本も生えている木。でも店長は、
「これはこれで悪くないと思いますよ」とのコメント。

木を切るわけにはいきませんが、比較的日陰を好み、暑さに弱い品種を植える場所としては有効ですし、夏、緑があるのは目にも優しく、ブロック塀の目隠しにもなります。木の根が多い場所はニオイスミレなど、背が低くてあまり根を深く張らない植物がお勧めです。

ビオラ・リディアグローブス

そこで、可愛らしい花がお好きというY様のために持ってきた、ビオラ・リディアグローブス。広がりやすく育てやすいニオイスミレで、花色も優しい感じです。きっとこの場所には合うと思いますからと、一株植えました。徐々に横に広がって、花壇の縁取りのようになると可愛らしいでしょう。

他にも、この木はつる性の植物を絡ませて活用するのにも使えます。たとえば、塀にツルバラを絡ませるためにはなにか固定するものを取付ける必要がありますが、借家ですし、塀はお隣との共有ですからかなり難しい相談です。頑丈な支柱代わりとして木を使ってみるというのも一つの方法です。

もちろん、絡ませるのはバラに限らず、色々なつる性のものでも良いです。ただし、あまり強く巻きつくものは木にダメージを与えますし、管理も難しいので避けたほうが良いでしょうと、いくつかのお勧め種類をお伝えいたしました。

駐車場わきの花壇〜集中管理で印象アップ

駐車場わき花壇

最後に、お家の前、駐車場わきの花壇を拝見。花壇といっても、塀と駐車場の間の幅20cmほどのスペース。でも、深さはしっかりありそうで、根もよく張りそうです。ここには引っ越された時に、前のお家から持ってきたハーブ達が植えてありました。

ブルーマウンテンラベンダー

ラベンダーはすこし徒長気味。倒れないようにするためにも夏場のムレ予防の為にも剪定がおすすめです。

ブルーマウンテンラベンダー

でも、剪定をするのであれば今すぐに行った方がいいね、と、実際に剪定して差し上げました。

花壇には一株ローズマリーが植えてありました。

「このローズマリー、以前店長さんが植えてくれたのを私が挿し木した分なんですよ」

と、聞いて店長はびっくり。Y様は、市内の社会福祉法人におつとめなのですが、店長はそこのお庭に十年以上前、ローズマリーやラベンダーを植えたことがあったのです。昔植えた株の子供に再会して店長は懐かしがっていました。

ローズマリー

そのローズマリーにも小さなつぼみが。新しい環境でもうまく育っているようです。

仕事と育児で日々お忙しく、なかなかお庭にまで十分な手が回りにくいY様へ、最後のアドバイス。
「すべての管理をしようと思わずに、一か所だけ集中して管理するほうが気が楽になります。目立つ道路沿いの花壇だけきちんとしておくだけでも、『ここはきちんと手入れをしておられるお庭だな』という印象を持ってもらえます」と店長。

Y様もその言葉を聞いて、安心しておられたようでした。

可愛い花が育って、お子さんたちと楽しめるお庭になるよう願いつつ、お庭をあとにしました。

後ほど、Y様からメールをいただきました。
「昨日は本当にありがとうございました!あれこれ制約を考え過ぎず、いろいろとチャレンジしたらいいんだなと思いました。楽しんでこの庭と付き合っていきたいと思います。」

とのこと。制約と思っていたことでも、うまくいかすアイディアによってはメリットになることもあります。ぜひ色々楽しんで頂ければと思います。