マンツーマンレッスン(+1) レポート 2014年3月14日

今回の受講者は、岡山で障がい者とともにハーブ栽培と販売を行うNPO法人を準備中の井上様と高橋様。「マンツーマンレッスン」ですが、今回は特別にお二人がご受講です。

ハーブの栽培環境づくりに関してのレッスンです。

受講前に、井上様から、熱いメッセージが送られてきました。
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「ぼくは植物が好きで、植物を身近に育て活用する生活ってすごい大事だと思います、でも今の僕ら若い世代は少し離れって言ってしまっているような気がします。
だからこそ植物に興味のない人にこそ『すごい』と植物の魅力を伝えられるような活動がしたいです。」

「そして地元の障がい者の方は仕事ができる能力があるのに雇用先がない方がたくさんいます。
僕は自分が思い描く農業をすることによってその人たちに幸せな環境が与えられるのではないかと感じたので
そんな世界を実現させることが目標です。」
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メッセージを読んだ店長、本人も若い頃に、先達から色々教わったときのことを思い出したようです。今回は自分が次の世代に伝える番だ!と意気込んで当日を待っていたようです。
さて、当日の朝、伊予灘で地震!レッスンに影響がでないか心配もしましたが、道中も問題なく、遠路はるばる当店ビニールハウスにお越しいただきました。ただ、「晴れの国」と言われる岡山から、うってかわって氷雨降る松江の早春。ビニールハウスのストーブにあたりながら講習はスタートしました。

マンツーマンレッスン

お二人は、ビニールハウス2棟と畑でハーブを栽培し、販売を予定しておられます。まずはハーブを育てるビニールハウスについてのレッスンです。

ハーブを栽培する時には、加温用というよりもむしろ雨よけ、雪よけ用としての意味が大きいビニールハウス。2棟あると、横を開放したり閉めたりすることで、異なる環境を作れますので違うタイプのハーブ栽培が可能です。また、時期をずらした生産をするにも有効に活用してみましょうとアドバイス。

また、山陽では冬も日照が望める一方で夏の暑さ対策も必要です。換気設備と、寒冷紗などによる遮光も必要になりそうですねと店長。

また、作業効率を上げるための内部の構造や雑草対策も、長年苗作りをしてきた側からの実践的なアドバイスを差し上げました。

マンツーマンレッスン

次に、一番大事な栽培についてのレッスンです。

今のところ種から栽培し、無農薬で育てるご予定とのこと。無農薬にはそれなりの苦労もつきものですが、苦労しただけの甲斐はあります。「でも、どうしても難しいものは敢えてあきらめることも大事です」と、店長。育てやすいものから徐々に種類を増やしていくことがお薦めです。

また、種まきはいろいろな方法がありますが、プラグを使った種まきについてご説明いたしました。また、ずらしまきは、特に初めての種類を育てる時に有効だとの言葉にお二人も納得されたご様子。そして、天候や条件によっては毎年同じように発芽するとは限りません。何度か試してみるぐらいの気持でと、苗作りの先輩として実感がこもった店長のすすめに耳を傾けていらっしゃいました。

一方、ハーブの仲間は多年草が多いので、種まきの他、株分けや挿し木も有効です。

マンツーマンレッスン

株分けで増やすハーブの代表としてはミントがあります。初めてでも高確率で成功しますから、簡単な株分けを実演してみました。

マンツーマンレッスン

その他にも挿し木の基本についても説明。まずは試してみることが大事ですね。

 

次に、ハーブを育てる用土についてのレッスンです。

用土作りは自分でどこまでやるのかコスト、効率を考えて検討する必要があります。ただし、自分で作れば環境や品種により最適な土を作ることができます。

ブレンドに関してはハーブ用土のブレンド(その1)-初心者のためのハーブ講座も参考に。

作業については、やはり夏の暑さをどうしのぐかが課題のようです。夏場のハウス内は50度近くまで気温が上がることがあるので、日中の作業は避けることが必要です。熱中症に気を付けて、無理をしないよう頑張ってもらいたいものです。

マンツーマンレッスン

あっという間の2時間でしたが、店長の話に熱心に耳を傾け、質問を投げかけるお二人に、店長は若い人の頼もしさを感じたようです。意気込みを感じた店長、お二人の帰り際に、当店で育成した大きなローズマリーの鉢をプレゼントしていました。きっとこの二人なら大きく育て、増やしてくれるだろうと思ったのでしょう。
後日、お礼のメールをいただきました。その中に、
「今後色んな壁に当たると思いますがどうにもならなくなったら又相談させて頂けるとありがたいです。」
の一節を見つけた店長、
「どうにもならなくなるまでやってみて、その上で質問するとものすごく上達するものなので、この意気込みは素晴らしい!」としきりに褒めていました。
数年後、どんな苗を育てているのか、今から楽しみの若者たちでした。