マンツーマンレッスン レポート 2013年5月5日

店長のハーブ・マンツーマンレッスンに戻る

マンツーマンレッスン

今回のマンツーマンレッスンは松江市内のお宅へご訪問してのレッスン。テーマはお庭づくりです。そのなかでも特にグラウンドカバーについて学びたいというご要望をいただきました。

1年ほど前に新築されたお宅でお庭の工事はまだ途中です。南側には広大なお庭(100坪!)、お庭の向こうには蛍が飛び交う小川が流れ、その先には田園風景が広がるという、誰もがうらやましがるようなロケーション。

お庭の全景

 

蛍のいる小川

 

目の前に広がる田園風景

目を遮る建物や電線等も無く、四季折々目を楽しませることができそうです。夜も満天の星空が楽しめそう。松江にこんな場所があるなんて・・・と店長もうらやましがっていました。

また、日当り、風通しも良く植物を育てるのには最適な環境です。しかし、わずか数センチ掘っただけで石がゴロゴロ。スコップではまったく歯が立ちません。おまけに水はけも悪いとの事。このようなお庭の管理方法についてアドバイスが欲しいというのが、今回のおもなご依頼内容でした。

お庭の様子

お庭ではすでにご自身である程度ハーブ類を植えておられます。まずはこれらについて・・・。

お庭に入ってまず目についたのがミントたち。

ミントをお庭に植えると
パイナップルミントやケンタッキーカーネルミントなど数種類が隣接して定植されていました。基本的にミント類はすぐに広がってしまいます。グランドカバー植物としては丈夫という意味でも悪くないですが、育ちすぎるという点では注意が必要です。特にこの場所のようにテラスのすぐ脇で、他の植物も色々植えたい場所は要注意。他のハーブたちの場所にまで侵入しやすくなります。また、いったん異品種同士が混じりあってしまうと分けるのは非常に困難になりますとアドバイス。あまり広げたくない場合は、大きめのプランターのまま地植えすると広がりを抑える事が出来ます。普通にハーブティーを楽しむぐらいでしたら容器栽培でも大丈夫です。特に、ケンタッキーカーネルミントはお茶におすすめ、逆にペニーロイヤルミントは弱いですが毒性があるのでお茶にはお勧めできません。でも、広がりの速さという点では、グランドカバーとしておすすめです。ここは日当りが良いですし、風通しも良好ですから、夏は少し弱るかもしれません。家の北側など、すこししっとりした場所のほうが葉色もきれいに育ちます。

お次はカモミール。

ジャーマンカモミール
今年はこぼれ種から生えて来たとのこと。こぼれ種から育ったものは環境に適応しているため強いのでぜひこの調子で。花はお茶にすると非常においしく、3~5輪を使い飲むと鎮静効果があるといわれています。また、お医者さんのハーブとも呼ばれ、花が終ったあとも土にすき込んだりして土壌改良に使えます。これは一年草のジャーマンカモミールですが、多年草のローマンカモミールは横に広がってこれもグランドカバーにできます。ただ、お茶が美味しいのはジャーマンカモミール。特にフレッシュは今しか楽しめません。数輪をカップに入れ、お湯を注ぐだけでもたのしめますから、ぜひご賞味いただきたいですね。

そして、タイム。

タイム
こちらも非常に順調に育っていますが、中央部分だけ元気がありません。これはタイムを初め、グラウンドカバーの特徴で良くある事です。こんな時は思い切って中央部分を堀上げ株分けしてやると元気になります。ベストの時期は春先か、花が終わってしばらくしてからですが、株が元気なので実践してみました。

タイムの株分け

ポイントはすべての株分けの時にいえる事ですが、根を切った分だけは必ず葉や枝を剪定する事。根が吸い上げる力と葉から蒸散していく水分のバランスをとってやる事が重要です。また、広がりつつある先のほうが一番元気なので、その場所を掘り上げて株分けして植えていくと、自然に広がっていくのを待つよりも早いです。

そのお隣は、ワイルドストロベリー。

ワイルドストロベリー
こちらも順調に育っている様子。ランナーが伸び、その先に子株ができてきたら広げたい方向へ芽のところを軽く埋めれば簡単に根付きます。すでに子株が根付いたものがありましたので掘りとって少し離れたところに植えてみました。

半日陰から日向のグランドカバーとしても良いですし、食べれるものはお子様も一緒に楽しむには一番です。花も順調に咲いていますから、実ももうすぐなるでしょう。果実は引っ張ってポロッととれる時が食べごろです。

ワイルドストロベリーの横にはサントリナ。

サントリナ
サントリナはここ山陰では蒸れで形が悪くなりやすいハーブです。でも、このお庭では風通しと日当りが良好なこともあってまずまずの状態。でも株の下のほうは葉が枯れ落ち始めています。美しいシルバーの葉で、形良く楽しむなら、春3月ぐらいまでに株元の葉を残してばっさりと剪定しましょう。その後、伸びてくると可愛らしい球状に育ち、株の生育にも有効です。
さて、ここで肥料について解説を。
バーク堆肥は使った事があるけれど、腐葉土は使われた経験がないとの事。牛糞等の混じったバーク堆肥は植物をより大きくする時におすすめです。また、野菜づくりにも使えるので便利です。腐葉土はバーク堆肥よりは優しく、土を軽くするのに使います。野菜ほど肥料分が必要でないハーブは腐葉土もよいでしょう。あわせて当店おすすめの微生物肥料もご紹介しました。

ついでに土壌改良材についても・・・。

土壌改良
今回、水はけの悪さがお悩みという事でしたので、対策用の土壌改良材を紹介させていただきました。
・クン炭・・一般的にはもみ殻を原料として炭化させたもの。無数の穴が表面に空いているために微生物や肥料分が入り込む事が期待されます。水はけの改善、酸性の中和にも使います。
・ソバ殻・・土の間に隙間を作り、土を軽くします。比較的安価です。
・パーライト・・石を発泡させたもので水分や肥料分を蓄えます。ソバ殻などと違い分解しにくいので長持ちします。

土壌改良材を使うのも大事ですが、水がきちんと流れやすいように傾斜を造ることは基本です。ここは川の土手に向かって緩やかな斜面になっていますから、ところどころ改善していけば雨のあともそれほど困らずにすみそうです。
そして問題の広いお庭の管理について・・・。

広い庭の管理方法
お客様のご希望としては「タイムなどのグランドカバーで覆いたい」との事ですが。
面積が広い事、土壌が現時点ではベストではない事などから、おそらく奥様とご主人だけでこの広い庭を管理するのはとても大変です。一度に全部をきちんとすることを目指すと、草取りばかりで楽しくないガーデニングになってしまう恐れもあります。手を抜く場所と、しっかり手を入れる場所を分けて考えることが大事です。

特に、土があまり良くない土手側については、とりあえず現在元気に育っているアップルミントなどを株分けして雑草を押さえる役にしてみましょう。ただ、広がりすぎないように、きちんと「ここまで」という範囲は決めておくことが大事です。ある程度大きくなったら草刈り機などできれいに切りそろえると見た目も良くなります。他のお客様で、田んぼの土手をこの方法で雑草対策しておられる方もいらっしゃいます。と、アドバイス差し上げました。

また、土壌改良は、少しづつ、無理の無いようにすすめていきましょう。庭を掘ると出てくる石も、耕したりする時には邪魔ですが、上手に使えばよい素材になります。

広大な庭

石で囲った花壇もナチュラルな雰囲気になりますし、ロックガーデンもまた面白いテーマの一つです。特に石の周りは植物の育ちが良好です。タイムも石は大好きですので、徐々に広げてみてはいかがでしょうか。環境的にはタイムはとてもあっていると思います。
また、現在お庭には木が植えられていませんが、より多くの種類を楽しみたいのであれば、木を植えて木陰を作るのも手です。全体が日向よりも、所々に陰ができると植物にも優しいですし、立体感も出ます。夏は木陰を作り、冬はしっかり日差しを通してくれる落葉樹がおすすめです。

また風通しが抜群ですから、是非ラベンダーも植えてみても良いかもしれません。でも、この辺りでは植えるのに一番いい季節は秋ですから、秋になったら是非試していただければと思います。

現在、水やりを毎日されているとのことですが、基本的に地植えの場合は水やりはしないほうが良いでしょう。水をやり過ぎると根が張らず、夏の間も継続して水やりをしなくてはならなくなります。徐々に回数を減らして慣らしていきましょう。「楽なガーデニング」を目指すということも、長く楽しむ上では大事です。

ちびっ子ガーデナーの花壇

ちびっ子ガーデナーの花壇です

お庭の真ん中付近に小さな花壇が・・・。ちゃんと名札がついてます。「クローバーです」ご長男さんの手作りの花壇だそうです。こちらのお宅にも「チビッコガーデナー」が。

今日はこどもの日。このガーデナーに「ホワイトワイルドストロベリー」をプレゼントさせていただきました。来年、たくさん楽しんでいただけると嬉しいですね。

本日は暑い中、長時間のレッスンを受けられた奥様、そしてレッスンの間中、書記を務められた優しいご主人、お疲れさまでした。きっと素敵なお庭になると思います。